建物内の段差など物理的な障壁を取り除くと言う意味から、現在では建築用語としてだけではなく、あらゆるバリアを取り除くという広い意味でも用いられるようになっています。
2003年のハートビル法の改正で対象となる建物が共同住宅にまで広がり、建築主への容積率の特例(環境実現のために売り場や客室の面積が減らないように)、新増設分の非課税、日本開発銀行などから低利の融資が受けられるなどの優遇措置によって、現在はバリアフリー対応の建物が多く見受けられます。
交通バリアフリー法が制定され障壁なく駅が利用出来るようになり、ハートビル法で個別での建物へのバリアフリーへの取り組みが行なわれていたとしても、それぞれの繋がりがなければ、結局、すべての人が暮らしやすく利用しやすい環境であるとはいえません。
また、現在あるバリアを取り除くという発想から、バリアフリーの取り組みは、特別の配慮を必要とする人のための取り組みと認識されることがほとんどです。
高齢者用・障害者用と指定されているものは、確かにバリアフリーといえるかもしれませんが、それを使うことに対して抵抗がある人もいます。
高齢者や障害者を特別な人として差別する意識を生んでしまうおそれがないとは言えません。
バリアフリーは、人の平等性や関係のあり方、また見た目の自然さにまで踏み込んでいないのではないかという問題点が指摘されるようになりました。
このようなバリアフリーの問題点を克服しながら障壁をなくしていくためには、高齢者や障害者だけを想定するのではなく、誰もが利用しやすい環境整備を進めていく考え方が必要です。
このバリアフリーの障壁をなくすという考えから、一歩進化した考え方が、ユニバーサルデザインです。
ユニバーサルデザインとは、普遍的なという言葉の意味合いそのものが示しているように、すべての人のためのデザインを意味し、年齢や障害の有無などにかかわらず最初からできるだけ多くの人が利用可能な製品、建物、空間をデザインすることをいいます。
この言葉や考え方は、1980年代にノースカロライナ州立大学(米)のロナルド・メイス氏によるもので、7つの原則が提唱されています。
この7原則は、既存のデザインの評価やデザインを考える際の方向づけとして使えるだけでなく、全ての人が利用しやすいものとは何かという物差しとして考えることができます。
ユニバーサルデザインの7つの原則 1.誰でも使えて手にいれることが出来る(公平性) 2.柔軟に使用できる(自由度) 3.使い方が簡単にわかる(単純性) 4.使う人に必要な情報が簡単に伝わる(わかりやすさ) 5.間違えても重大な結果にならない(安全性) 6.少ない力で効率的に、楽に使える(省体力) 7.使うときに適当な広さがある(スペースの確保)
ユニバーサルデザインによって、バリアフリーデザインがなくなるわけではありません。
例えば黄色の点字ブロックは、バリアフリーデザインとしての代表的な例ですが、ユニバーサルデザインとしてのまちづくりという観点からは、ユニバーサルデザインの一部と考えられます。
ユニバーサルデザインへの取り組みは、誰もが自分の意思で自由に行動できる平等な社会をつくっていくために必要なことと考えられます。